前職のお客に営業するのはマナー違反?

営業に関するQ&A

法律違反の場合もあるので注意が必要

営業職として転職すると、いろいろな顧客と接する機会があります。営業には新規開拓と既存深耕とがあり、新規開拓の場合には飛びこみなどで新たな顧客を見つけなければなりません。

なかなか新しい得意先が見つからない時などは、以前の人脈を使って実績を上げたいという誘惑にかられることもあります。しかし、その場合には細心の注意が必要です。前職の顧客に営業するのは、もしかするとマナー違反になるかもしれません。

不正競争防止法に抵触の恐れ

大前提として、今まで営業職として働いていた人が転職して同じ業種に就くということは何ら悪いことではありませんし、基本的に制限を受けることもありません。しかし今まで働いていた会社の情報を外部に持ち出すのは不正競争防止法に抵触する恐れがあります。

不正競争防止法第21条では営業秘密を領得して、それによって不正の利益を得た場合の罰則が規定されています。前職の顧客データやノウハウはこの営業秘密の範囲であり、不正の利益を得たと判断されれば10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金が科せられるのです。

営業秘密とは?

ではどんなものが営業秘密になるのかというと、三つの点が重要になります。まずそれぞれの会社で秘密として管理されているかどうかという秘密管理性です。通常顧客データは厳重に管理されており、秘密管理性があるとされるでしょう。

次に有用な情報かどうか、有用性が大切です。顧客のデータは業績を伸ばすうえで非常に重要で有用なものなので、この有用性も認められます。最後に一般に知られた情報かどうか、非公知性が必要です。顧客データは当然非公開なのでこれも認められます。

つまり以前の会社に保管してあった顧客データは営業秘密と判断される可能性が非常に高いのです。

前職の顧客に営業するのは注意が必要

こうした点を考慮すると、前職の顧客に営業して利益を得たと判断されると訴えられてしまう恐れがあることが分かるでしょう。自分に対してか、新しい会社に対してかはわかりませんが、面倒な状況になる事は間違いなさそうです。

ただし一人や二人の知り合いを訪問する分には問題ないかもしれません。顧客に対してよりよい提案をすることができ、新たな選択肢を提示することもできるかもしれません。こうした問題に対するアドバイスも転職サイトや転職エージェントで受けることができます。不安を抱えているのであればそうしたサイトに登録してサポートしてもらうこともできるでしょう。

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